人間は皆天才

2017年07月01日

教化部長 坂次 尋宇

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■世界に例を見ない企業
  幻冬舎発行の『虹色のチョーク ―働く幸せを実現した町工場の奇跡―』という本があります。この本で紹介されている日本理化学工業はチョークを作る会社で、現在日本のチョークのシェア50%を占める筆頭メーカーです。この会社で開発された粉の飛散が少ない「ダストレスチョーク」や、ガラスやホワイトボード等つるつるした物にも書け、濡れた布で簡単に拭き取る事ができる「キットパス」などを開発しています。この会社が世間から注目されるのは、80名の従業員の内7割が知的障害者で、生産ラインのほぼ全部を担当していて世界に例を見ない企業だという事です。
■働く幸せ
  昭和34年、養護学校の先生が知的障害者の卒業生を雇って欲しいと、当時日本理化学工業の専務であった大山泰弘さんにお願いされたそうです。しかし知的障害者では採用が難しいと断ったのですが、その先生はその後2度お願いに来て、最後に「この子達は一生家か施設で暮らすことになり、働くということを知らずに人生を終わってしまう。だから働くことの喜びを経験させてあげたい」と言ったそうです。この言葉を聞いた大山さんは大変感動して、この子達の役に立つために2週間だけの体験入社を認めたそうです。
  2週間の期限が迫った時、何人かの社員が大山専務の所に来て「知的障害の子達を雇ってもらえませんか。足りない分は私たちがカバーします。この子達の仕事ぶりを見ていてこちらが反省させられました。」と頼みに来たというのです。それ以来日本理化学工業は知的障害者の採用を続けているのだそうです。
■彼らに教えられる
  現在4代目の大山隆久社長は、障害者を雇用する事について次の様に語っています。
「感謝の気持ちです。私を始め、健常者の社員全員が、障がいを持つ仲間に働く幸せを教えられています。彼らは、私たちの築いた工程に従って仕事をしているだけではありません。使命感を持って一心不乱に作業し、会社のために役に立ちたいと渾身で思ってくれています。一瞬一瞬、仕事をする喜びを全身に湛え、それを職場に振りまいてくれるんですよ。その姿を見ているだけで、自然と笑顔が浮かんできます。生きていること、働けること、その喜びを、私は毎日彼らから教わっているんです」と。
■能力は神より来る『新版 生活の知恵365章』19頁
 何人も自分の能力を自分の能力だと思ってはならないのである。すべての能力は神より来たるのである。そのことを本当に自覚したとき、自分の能力を自分勝手の自己中心的目的にばかり使ってはならないのだということが悟れるのである。
 神から与えられた能力を神の目的に使いなさい。すべての能力は、それを「自分の能力」だと思ったとき、あなたは自分自身の能力を限ることになるのである。五尺数寸十幾貫匁の自分の肉体の能力など、知れたものである。それは数えるに足りない。自分の能力が神から来たものであり、自分のものはひとつのない―と知ったとき、諸君は自分の能力を他に見せびらかすような考えはなくなり、虚栄心は無くなり、毀誉褒貶に心を動かすことはなくなり、神を讃えるために、神を表現するために、神の愛を実戦するために、自分の能力を埋蔵することなく、人のために尽くすことができるようになるのである。