命を繋ぐ

2021年05月01日

教化部長 坂次 尋宇

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■寒緋桜(カンヒザクラ)
   私の住むマンションの敷地の一角にプロパンガスの倉庫があり、その倉庫の裏側は用水路が通っています。用水路には金網でできたフェンスが張られていて、フェンスと倉庫の間は約30センチぐらいの空間があります。当然敷地を活用するためには余分な空間は必要ないので、それだけの幅があれば充分です。ところがその空間にどの様にして育ってきたのか寒緋桜が生えていたのです。
 高さが180センチほどの木で幹の太さは3センチほどでした。毎年3月上旬には釣り鐘状の下向きに閉じたような半開きの形の濃い紫紅色の花を咲かせます。生えている場所が人目に付かない倉庫の裏だったので、マンションに住む人は殆ど知らなかったのではないかと思います。私はその逞しく生きる姿と美しさに惹かれて毎年咲いてくれるのを楽しみにしていました。

■切られ枯らされたP1050757
   あまりにも美しい花なので、教化部の境内地に植樹すれば寒緋桜の鮮やかな濃い紫紅色の花を信徒の方々が観賞できないだろうかと考えていたところ、信徒の方で木に関して詳しい方がおられたので相談してみました。すると30センチ程度の長さの枝を二本ほど持ってくれば、挿し木をして成長させて植樹出来るとのことでした。令和元年4月頃、花が落ちて葉が茂った寒緋桜の枝を二本切り取って彼に渡し育てて貰うことをお願いしました。
   6月頃だったと思います。ある日、ふとマンションの寒緋桜を見てみると、木が途中で切られていて葉が全て枯れ落ち死んでいました。どうも管理会社の担当者の方が、寒緋桜と気が付かず、不自然な所にある木だとして薬で枯れさせてしまったようで、愕然としてしまいました。しかし運良く2ヶ月前に枝を切り取って挿し木にいていたので寒緋桜の命は絶やさずに済みました。

■繋がるいのちP1050764
   令和2年12月4日、信徒の方によって挿し木で育てられた寒緋桜の苗木が二本、境内地に植樹されました。高さが50センチとまだ今年は花が咲きませんでしたが、何年か後には素晴らしい花を咲かせてくれると信じています。1年と9ヶ月寒緋桜をお世話をして下さった信徒の方に心から感謝致します。
 最後に総裁・谷口雅宣先生の御著書『神さまと自然とともにある祈り』の中にある「植物の美しさと命を感じる祈り」を掲載いたします。

 道ばたに咲く、小さなスミレ。空からはらはらと散るサクラの花。天を突くスギの森。海風にたえるマツ林――
 神さま、私は花々の愛らしさ、木々の美しさや力強さを心に強く感じます。体の外にあるこれらの植物を、内部に強く、美しく、力にあふれて感じることができるのは、私の命と植物の命が本来一体だからです。花の色、繊細な形、色と形の組み合わせに、私の心は震えます。木々の枝の伸びやかな広がりや太い幹のたくましさに、私は力と動きを感じます。植物の発するこれらの無限に多様なメッセージを、私たちの命は喜んで受け止めます。
 神さま、あなたは植物をとおして、私に命と勇気を与えてくださっています。ありがとうございます。