「公」
2016年03月01日
教化部長 坂次 尋宇
■震災から5年
月日が経つのも早いもので今月11日で東日本大震災発生からもう5年が過ぎます。震災によってご家族やご親戚を亡くされた方々や、住む家を無くされたり仕事を失ったり他の土地へ移転する事を余儀なくされた方々など、物質的にも精神的にもまだまだ傷が癒やされるまでには時間がかかるのではないかと思います。
しかし、大変な状況の中にあっても前向きに希望を持ち光明面を見て必ず良くなると信じて一歩一歩前進して下さることを祈っています。
■自衛隊員の使命
当時の救援救済活動について感動する話が数多く伝わって来た中で、次の様な話があります。
陸海空の自衛隊は東日本大震災救援のために、かつて無い10万人に及ぶの隊員を送り出し、救援活動の中で多くの隊員が自らの使命を全うして多数の被災者を救助したのです。
ある隊員は休日で野外に居るときに津波に巻き込まれ、胸まで水に浸かりながら流れてくるご婦人を発見して抱き上げるとともに、更に今度は男性をもう一方の手で抱き上げ、流れ着いた民家の二階に二人を避難させました。隊員はその民家を離れてまた濁流に戻り、その後なんと総計18名の人を救助したというのです。助けられた男性は「隊員の人を救いたいという計り知れない使命感を感じた」と語っていました。
■「公」を生きる
作家の司馬遼太郎は、明治維新とそれに続く近代国家への改革を成し得ることができたのは、日本国民に無私奉公の倫理的精神(名こそ惜しけれ)と言う「公」の精神があったればこそと語っています。その証拠に当時の政治家はあまりにも正直すぎて汚職が一つも無かったと言うことです。つまり個人の利益を優先することより、公の利益のために尽くす事が大切であると言う倫理観が、多くの国民の意識の中に確立していたため、近代化に向けたあらゆる問題がスムーズに解決できたと言えるのです。
■使命邁進
大聖師・谷口雅春先生は「『生長の家』出現の精神とその事業」の御文章の中で、「自分は此の誘惑に打ち克つて人類を救はねばならない。自分の有つてゐる限りの火で人類を救はねばならない。自分の火は小さくとも人類の行くべき道を照さずにはおかないだろう。(中略)自分は今覚悟して起ち上つた。見よ!自分の身体が燃え尽くすまで、蝋燭のやうにみづからを焼きつゝ人類の行くべき道を照射する。」と、人類救済という使命をはっきりと書かれています。
自衛隊員は、「日本国民を守るの最後の砦」という自覚と使命をもって日々訓練に励んでいますが、私たちも「吾神の子なり」との自覚を持って、自分の生き方の中心に「公」という愛他精神を建てて、家族、国家や人類そして世界のために生きて行きましょう。