相手の立場に立つ
2020年11月01日
教化部長 坂次 尋宇
■本当にバックオーライか?
皆さんは家族や知人の車が駐車する時に、車の後や前で「オーライ、オーライ、ストップ」と車の誘導をしたことがありますか?駐車できるようにうまく誘導するポイントの一つは、誘導する人が自動車の運転免許証を持っているか否かによります。自動車の運転免許証を持っている人が誘導すれば、運転手の気持ちが分かりますから、的確に正しい指示を言うことが出来ると思いますが、免許証を持っていない人は運転手の気持ちがなかなか分かりませんから、うまく指示が出せません。ぶつかるまでオーライを言う人もいるとか。
私が大学4年生の時には普通自動車の運転免許証を取得していました。アルバイトで観光バスのバスボーイをしたことがありますが、このバスボーイというのは男性版バスガイドです。幼稚園の遠足や修学旅行の時に学校から新幹線の駅まで等、お客さんの移動のためだけの仕事なのでバスガイドの案内が不要なので、代わりにバスボーイが添乗します。
さて、バスが目的地に到着して駐車する時に、笛を「ピ、ピー、ピ、ピー」と吹きながらバックの誘導をするのですが、バスの真後ろで誘導したら運転手が「お前の姿が見えん。俺が見える所で誘導しろ」と言われました。そこで今度は運転席側のバスの後でバックミラーが見えるところで誘導したまでは良かったんですが、今度は地面ばかり見ていて上を見ていなかったため、木の枝がバスに当たってしまいました。
■着陸誘導
以前にもお話ししましたが、私はヘリコプターの会社に勤めていましたので、工事現場のヘリポートでは時々ヘリコプターの着陸に際して誘導をする機会がありました。一応ヘリコプターの着陸時の誘導方法を少し勉強していたので、ヘリポートの前に立ち両手を斜め上にあげて機体の左右のズレを修正しながら両手を下へ振り降ろしていくのですが、飛行場と異なり四方が山や森で囲まれているため、かなり狭い場所での誘導になります。
私が初めて着陸の誘導した時、ヘリコプターを見てうまく誘導したのですが、着陸した後にパイロットから言われたのは、「お前の合図がさっぱり見えんかった。」と。結局パイロットは自分の目で確認して着陸したと言うのです。この時以前バスボーイをしていたことを思い出し、操縦席にいるパイロットの気持ちを考えると、パイロットが地上にいる自分の姿を見られる位置に自分がいなければいけないと気がつきました。そこで次回からは誘導する時、パイロットの顔が常に見える様に自分が移動しながら誘導するようにしましたら、パイロットから「誘導、良くわかっぞ」と褒められました。大切なことは相手の立場に立つ事です。
■自他一体の自覚
『新版 栄える生活365章』の327頁に、「愛の普遍性に就いて」と題して次の様に示されています。
(前略)あらゆる善き宗教の発祥する本源なる神に於ては、すべての人は“神の子”であり互いに一体である。その一体の自覚が「愛」であり「慈悲」であり「仁」であり「むすび」であるから、あらゆる時代及び地域に於ける宗教は何らかの名称で「愛」が説かれることになっているのである。それは「愛」が普遍的真理であることの実証である。併し愛は一時的なセンチメンタルな同情ではないのである。愛は自他一体の自覚から来る聖なる意志の努力である。(後略)