腐ることありがたし

2021年04月01日

教化部長 坂次 尋宇

■あん入り草餅fukuya-kusamochi3-300x225[1]
 以前小豆島に行った時、信徒の方から手作りのあん入り草餅を沢山頂き、帰りの船の中で幾つかをおいしく頂きました。暫くして残っていた草餅を食べようとしたら腐っていました。信徒の方が作ってくれた草餅は防腐剤が入っていないので、当たり前といえば当たり前なのですが、私たちが普段スーパーマーケット等で買う大福餅には防腐剤が入っているために長期間腐りません。その感覚でいたので腐らせてしまったのです。腐りにくく保存がきく食物は確かに有り難いのですが、それに含まれる防腐剤等、知らないうちに添加物を摂取している事になります。
 昔こんな話を聞きました。ある家庭の夕ご飯の時、お母さんはおかずにレトルト食品のミートボールを作ってくれて、子供と食べていたそうです。そこへお父さんが帰ってきました。お父さんが食台を見るやいなや、「ミートボールを食べるな!」と叫んだそうです。実はお父さんの勤めている会社はそのミートボールを作っている会社だったということです。お父さんがミートボールに色んな添加物が入っていることを知っていたからだそうです。

■マイクロプラスチックplastic4-1024x682[1]
 私たちの環境を見渡してみるとあらゆる所にプラスチック製品が使用されています。腐らず分解しないプラスチック製品は、製作も簡単でコストも安いのですが、腐ることがないので永遠に存在し続ける事になります。
 現在世界中で問題になっているマイクロプラスチックやナノプラスチックは、環境中に存在する微少なプラスチック粒子で、特に海洋環境において極めて大きな問題であり、その原因と思われる物は、洗顔料、化粧品、研磨剤や、海洋プラスチックゴミが段々と壊れた物、家庭の衣類の洗濯から脱落した合成繊維などがあります。そのマイクロプラスチックを海の小さな生物が体に取り込み、それを今度はそれより大きな魚などが食べて、最後には人間が魚類を食べて体に蓄積し永遠に分解されずに残ると言うのです。この問題を考えると今すぐにでもプラスチック類の使用を止めて対策を打たなければならないと思います。
 腐ることは大自然の中で物が循環して他の生物の糧になっていく素晴らしいシステムと言えます。自然と共に生きるとは、そうした自然の循環システムを受け入れて自分自身が実践して行くことです。

■「人間は自然そのものと知る祈り」
(前略) 私たちは「神の理念が人間に体現されている」ことの、本当の意味を知ることができる。「神の理念」とは万物の調和である。万物が互いに与え合いながら、より高度の目的のために協力する姿が、神のイメージである。自己目的のために周囲から奪い、地を破壊して顧みないことは「神の理念」ではなく、神の御心ではない。私たちの肉体の仕組みと生き方が、そのことを有力に語っている。私たちは「生きている」のではなく、すべての生物に支えられ、その恩恵によって「生かされている」のである。だから私も、万物を生かすことに喜びを感じるのである。人間の内にある「神性」や「仏性」とは、万物大調和の自然の実相に気づき、それを自己の生活の中に、人間の生き方の中に表現しようとする意志である。(後略)