すする

2021年06月01日

教化部長 坂次 尋宇

■うどんの旨い食べ方008-1[1]
 香川県はうどん県と呼ばれるくらいうどんの消費量が群を抜いて多いですね。熱いうどんを「ズルズル」とすすって食べるのは美味しいものです。
 若い時、友人とラーメンを食べに行ったのですが、その友人のラーメンの食べ方が下手というか見ていて美味しく感じられないのです。それは彼が猫舌だったのか麺をもぐもぐと口の中へ手繰り寄せるような食べ方で、すする時に出る「ズルズル」と言う音がしないのです。麺を食べる時に「ズルズル」と言う音がすると、何か美味しく感じられるのですが。

■熱い汁をどう飲むか
 欧米人が飲むスープなどの温度は60度~70度ぐらいで、音をたてなくても飲める温度です。しかし日本人の飲む汁物は、温度が80度~85度ぐらいのかなり高温で、その熱さが美味しく感じられるようです。けれどもそのまま飲んでしまうと口の中を火傷しますので、飲む時空気を含ませてズズズと音をたてて飲むという風習ができたようです。
 しかしこれは日本独特の食べ方だそうで、海外では食事の時に音を立ててはいけないそうです。麺類を食べる時に、麺をすすって「ズルズル」と音を立てる食べ方が、猫舌の人や外国人に不快感を与えるとして慎むべきであるとする主張が、一時期ヌードルハラスメントということで話題になったようでした。ですから日本で食べる時は日本の文化ですから音を立ててもいいとしても、海外ではその国の文化やマナーに従わないといけませんから、音のしない食べ方をしましょう。

■「すする」ことの効果
 さて、「すする」という食べ方を調べてみると、二つの効果があることが分かりました。
①香を楽しむ
 麺や汁等を味わうだけでなく、食べる時に一緒に空気を吸い込むことによって、食材の香りを口から取り入れ、喉から鼻へ空気が抜ける時に一層香りを深く感じることができるらしいのです。
②温度を下げる
 熱いお茶を飲む時や熱いラーメンを食べる時、そのまま飲んだり食べたりすると口の中を火傷しますが、食材と空気を口の中で混ぜながら食べることで食材の温度を一気に下げる事が出来るのです。

 これからも美味しくうどんを戴きましょう。「ズルズル」っとね。