さぬきの郷土に学ぶ「三豊市 津嶋神社【瀬戸内海に浮かぶ、こどもの守り神】」

2022年09月27日

 今回は香川県三豊市にある全国的にも珍しい「津嶋神社」を紹介します。S__10330163

 多度津町海岸寺から詫間町松崎にかけての海岸線。津嶋神社は、このひときは美しい瀬戸内海の海上に浮かぶ、小島に祀られています。江戸時代から子供の健康と成長の守り神として信仰が厚く、日本全国から家族連れの参拝者が多く訪れます。
 津嶋神社のある島は、沖合い250mに浮かぶ周囲132mの小島で、ウバメガシが島の岩にしっかりと根をおろし、生い茂り、島の周囲は季節風や波に洗われ奇石が連なっています。

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津嶋神社の小島はおよそ1500年前の火山活動による溶岩から形成されている。

 そんな小島に、素戔嗚命(すさのおのみこと)を祀る本殿、幣殿、拝殿、神饌殿、社務所、守札授与所がありますが、この島に渡れるのは年に一度、夏季例大祭(8月4・5日)の時だけです。

 こどもの守り神として全国的な信仰をあつめる

 津嶋神社は文禄年間(1592年~1596年)6月から8月にかけて、この浦に女のうたう声が聞こえ、その声を村の人は怪しみたずねてみました。何も見当たりませんでしたが、巫女に託して「我は海中に住む神。名は津嶋神という。今よりこの島に祀るべし。祠など造る必要は無い。何よりまず、木を植えるべし。それが我神体なり。さすれば、村の子供、牛馬を病から守るなり。」という神託がありました。里の人たちは早速、鳥居をたてて島に祀り、以降旧暦の6月24、25日の両日に祭りごとを営みました。これが現在の夏季例大祭の始まりとされています。(昭和45年に、こどもの夏休みにあわせて旧暦から今の8月4日、5日に改められました。

一年に二日だけ「島が開く」

 大正時代になると「こどもの守り神」として、地元の住民を中心とした厚い信仰を集めるようになり、その厚い信仰は徐々に日本全国へと広がっていきました。大正4年には、四国の鉄道で初めて「津島ノ宮」臨時駅が許可され夏季例大祭の期間中だけ開設されるようになり、現在も続いています。
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日本一営業日が短い駅(2022年に3年ぶりの開設)

 昭和8年には当時の大見村村長倉田彌治郎氏を発起人として、海岸から島までの渡り橋(津島橋)が架けられました。
 その後自然災害の被害などもあり、現在の渡り橋は4代目の渡り橋になります。ちなみに、橋が架かるまでは島へは船で参拝するのが通常でした。この地に吹く風は神風とされ、245メートルの「つしま橋」を渡っている間に、罪・穢れ・病気・悩みなど悪しき事がすべて神風で祓われ、心身が清められます。そして島の本殿にて幸を授かることから「しあわせ橋」と呼ばれています。
 夏季例大祭以外の時は、橋のたもとに立ち、島から吹く神風をいっぱい受けることで元気(パワー)をいただくことができます。
 ちなみに津嶋神社と対岸を結ぶ津島橋は、いつもは入り口が封鎖され橋桁に敷き詰められる板が外されているので、夏季例大祭の2日間のみ通行できるよう床板が架けられます。
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今回は8月下旬に訪れましたが、是非来年は夏季例大祭に参加してみようと思いました。

神社周辺の海が綺麗

 津嶋神社を参拝後、境内周辺を散歩していると隣りはすくに海。ちょっと覗いてみると・・・
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30センチくらいの魚が何匹か海岸近くで泳いでいました。

  是非、皆様も一度訪れてはいかがでしょうか?