意義

地球環境保全に向けた生長の家の取り組み

 生長の家では、2007年7月に、日本国内にある64法人の布教施設(事業所)と2つの関係法人の合計66のすべてが7年がかりで環境マネジメントシステム・国際規格ISO14001の認証取得を完了しました。2001年7月に、宗教界としては世界で初めて※1、生長の家本部事務所(東京・原宿)と生長の家総本山(長崎県西海市)がISO14001認証を取得したことに始まり、7年をかけて全国の生長の家教団の各事業所が順次認証取得してまいりました。
 また、昨年度(2007年度)からは、新たな活動として”炭素ゼロ運動”を開始しました。これは、生長の家教団が布教活動に伴って排出する二酸化炭素(CO2)の排出量をできるだけ削減し、かつ、削減しきれなかった分については、自然エネルギーの導入や植林などによって相殺し、実質的にCO2の排出量をゼロにしようというものです。この一環として2008年1月に、5000トンのCO2排出権を取得し、生長の家本部事務所、生長の家総本山、生長の家宇治別格本山(京都府宇治市)の3事業所がエネルギーの使用によって排出するCO2の4年分を相殺する見込みとなりました。
 これらの取り組みは、生長の家の教えに基づいています。環境方針に示されているように、生長の家では1930年(昭和5年)の立教以来、「天地一切のものに感謝せよ」との教えに基づき、”植物も、動物も、鉱物も、全てを神の生命・仏の生命の現れとして拝む”という生長の家の生活信条を実践しています。
 地球環境問題に直面している今日、この生長の家の教えの実践こそ、大きな現代的意義をもつものと思います。このような信念に基づき、生長の家は今後とも、「すべては一体」との教えを広く宣布するとともに、地球環境保全に向けた具体的な取り組みを積極的に推進してまいります。

 

2008年4月1日

※1 当時。宗教活動と一体になった取り組みとしての認証取得をいい、宗教団体の一部施設が認証取得している例はあります。また、スイス・ジュネーブにあるISO本部発行の“ISO Management Systems ”誌 2002年1-2月号で宗教界世界初として4ページにわたり紹介されました。

地球社会の一員として宗教法人「生長の家」布教・環境方針

基本認識

 生長の家は、1930年(昭和5年)の立教以来、「天地の万物に感謝せよ」との教えにもとづき、全人類に「人間・神の子」の真理を宣布し、万物を神の生命(いのち)、仏の生命(いのち)と拝む生き方をひろめてきた。人類はその間、世界大戦と冷戦を経験しながらも平和への希求を絶やすことなく、人口急増の中で経済発展をなしとげてきた。

 しかし、人類は幸福追求を急ぐあまり、他の生物種や自然環境を顧みない思想と生き方が災いして、資源やエネルギーの大量消費、温室効果ガスを含む有害物質の大量排出などにより、立教から90余年をへた今、地球の自然環境は深刻な劣化状態に至っている。即ち、地球温暖化は不可逆的なレベルに近づき、その結果である気候変動は世界各地に災害を頻発させ、食糧の減産を引き起こし、難民や移民は増加を続け、政治的経済的な排外主義の台頭により、各国に政情不安が起こっている。これらは次世代以降にも及ぶ深刻な問題である。

 このような中で、吾々人類に必要なことは、自然と人間を“別物”と考えて搾取の対象とするのではなく、大自然の恩恵に感謝し、山も川も草も木も鉱物もエネルギーもすべて神の生命(いのち)、仏の生命(いのち)の現れであると拝み、それらと「共に生かさせていただく」という宗教心である。生長の家は、この宗教心にもとづく生活の実践こそ、地球規模の広がりをもつ現在の諸問題を解決する鍵であると考える。

 生長の家は、この宗教心を広く世界に伝えると共に、現代的な意味での宗教生活の実践として“自然と共に伸びる”生き方を開発し、あらゆる活動を通して温暖化の抑制と地球環境保全に貢献するだけでなく、気候変動や地震・津波などの自然災害の影響などで困窮する人類同胞の救援・支援を展開するものである。

行動指針

1.啓発活動の実施
 職員全員に対して、本教団の教えは人類愛・生類愛の基礎となるものであり、環境を含む“他者”の尊厳と自由に配慮した業務と活動を進めるよう教育・啓発活動を行う。また、布教活動を通じて、多くの人々の間に人間相互の尊厳と信頼、自然と人間との一体感を醸成すると共に、貧困・餓餓・人間不信の軽減と地球環境問題の改善に貢献する生き方を推奨する。

2.自然の生態系と伝統文化への配慮
 吾々は、国内外におけるさまざまな布教・事業活動を展開するにあたり、「植物も、動物も、鉱物も、全てを神・仏の現れとして拝む」との宗教心に基づき、自然の生態系への影響と、その生態系を前提として築き上げられた地域の伝統や文化の維持に配慮する。また、地域の人々の福祉と共に動植物や菌類を護り、豊かな自然を保持することに努める。

3.環境負荷の軽減
 吾々は地球温暖化、オゾン層破壊、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染など、環境破壊や気候変動から生まれる人々の生活基盤の劣化の軽減に貢献することを目指す。その一環として自然界のクリーンなエネルギーの利用を進める技術の発展と、地域の生活基盤の向上への努力を一層強力に推進することの価値を認める。このため、太陽光、水力、風力等による発電装置の設置、植樹、低公害車の導入等の環境対策と共に、自然の生態系を尊重する地域の伝統・文化の維持と向上に積極的に取り組むものとする。

 4.廃棄物の削減、リサイクルの促進
 吾々は廃棄物の発生を減少させ、最終廃棄物の量を削減することを目指す。その一環として、伝統文化や技術の中に学ぶものがあれば、積極的に採用する。生かすべき物は生かして使い、古くなった物の中にも、まだ充分使える物は再使用し、使えなくなった物は可能な限りリサイクルする。これは「あらゆる物に感謝する」という教えの実践であると共に、地域の文化・伝統や技術の保存を目指すものである。

5.省資源、省エネルギーの促進
 持続可能な発展のためには、枯渇が懸念される資源の消費を削減し、化石燃料や電力などのエネルギー使用の削減を行うことが必要である。そのためには、吾々の心に「自然の支配」ではなく「自然との調和」に喜びを感じる価値観が根付くことが必要である。吾々は、資源やエネルギーも神・仏の現れであるとの考えを学ぶと共に、とかく「不便」「めんどくさい」と思われがちな自然界との密接な関係の中に喜びを見出す生き方を開発する。そして、「自制」と「自己訓練」によってむやみに資源やエネルギーを消費しないよう努める。

 6.倫理的選択、グリーン調達の促進
 物品やサービスの調達にあたっては、食品の地産地消・旬産旬消、フェアトレード、動物愛護、児童労働など、環境を含めた倫理問題の軽減を考慮して選択する。

 7.倫理・環境関連諸法規とコンプライアンスの遵守
 環境関連法規や条例、地域協定などを遵守する。また、労働時間の管理、適切な情報管理、内部規則遵守の徹底などコンプライアンスを遵守する。受け入れを同意した倫理・環境関連の取り決めがある場合はそれを遵守する。

 8.倫理・環境管理体制の充実
 倫理・環境管理体制を整備し、各部門に目的・目標を設定させ、それを見直させることにより、倫理的業務と地球環境保全活動の一層の充実を図り、継続的改善に努める。

 9.周知と公開
 布教・環境方針は、職員向けホームページ等を通じて全職員に周知する。また、外部へもインターネット等を通じて公開する。

発行              2000年(平成12年)10月11日
改訂(行動指針)          2001年(平成13年)12月 5日
改訂(基本認識及び行動指針)    2024年(令和6年)   4月 3日

宗教法人「生長の家」 代表役員 雪 島 逹 史