シークレットサンタ
2015年11月01日
教化部長 坂次尋宇
■20ドル札 アメリカに「シークレットサンタ」と呼ばれた人がいました。名前はラリー・スチュワートと言い、23才で化粧品会社を設立したものの、その年の年末には倒産し借金を抱え無一文になってしまいました。8日間飲まず食わずで意識が朦朧としている時、気が付くと彼はレストランで食事をしていました。お金が無いので財布を捜すふりをしながら何とかその場を切り抜けようと思っていた時、店主がラリーの肩を叩いて、 「お客さん、お金を落としましたよ」と言ってそっと20ドル札を目の前に置いてくれました。そのお陰で無事会計を済ませることが出来たのです。
その後ラリーは警備会社を設立して順調に行き、結婚して子供にも恵まれました。ところがまたもや倒産。膨大な借金と無一文になったラリーは、銀行強盗を計画し銃を持って銀行の窓口に行きポケットの中の銃に手をかけた時、少女が貯金しようと20ドル札を目の前の窓口に出したのです。
この時ラリーは、4年前にレストランで受け取った20ドル札の事を思い出し、銀行を後にしてそのレストランに向かいました。店主に会って「4年前にこのレストランに来て貴方から20ドル札を貰った者です。どうして…」店主はラリーに向って 「クリスマスは皆がハッピーになれるんだよ」 と一言だけ言いました。
■施し ラリーは今まで自分が成功する事だけを考えていたが、他人に施すことがどれほど大切であるかに気がついたのです。ある時売店でポップコーンを注文すると、売り子の女性は暗い表情で間違った品物とおつりを彼に渡しました。ラリーは彼女が困っている事があると感じて、おつりの中から20ドル札をプレゼントしたのです。すると彼女の顔が一瞬にして明るくなり、嬉しそうに礼を言ったのです。
彼は失業中にもかかわらず、そのまま銀行に行ってなけなしの全財産を20ドル札に替え、困っている人や貧しい人に20ドル札をクリスマスプレゼントとして配って歩いたのです。
■与えよさらば与えられん 翌年の1980年、彼は友人と長距離電話会社を設立し、遠くに離れている家族が喜べるようにと奉仕の心で始めました。そしてその年もクリスマスにはシークレットサンタになって困っている人々に20ドル札をプレゼントする活動を続けたのです。すると不思議なことに施しをすればするほど会社の業績は伸びて行き、やがて年商10億円の大企業に成長して彼も大富豪になってしまいました。その後もラリーは一年も休まずシークレットサンタを続けたそうです。このことは家族にも言っていなかったそうです。
1987年12月、9年間続けたシークレットサンタの正体がラリー・スチュワートであることが知られてしまいました。彼が家族に謝ると 「素敵なことじゃない。これからはもっと節約して沢山の人を助けられるように協力するよ」 と妻は答え、家族もラリーの活動を陰から支えたのでした。
2001年の世界貿易センタービル爆破事件にはホームレスや職を失った人々に25000ドル、2005年のハリケーンで被災した人達に75000ドルを配るなどして、27年間に配った総額は130万ドルになっていました。そして彼は2007年58才でこの世を去ったのです。
■寛大に他に与えよ 「与えよ、さらば与えられん」が法則であることを知るならば、今、現在自分が何を与えられているかに就いて不足の考えを起す必要はないのである。自分が何を人に、又は社会に、国家に、与えているかを考えて見、与えることが少なければ、与えることを多くするよう心掛ければ好いのである。若し自分が与えること少なければ、自分の与えられることも少ないのである。自分が与えること多ければ、また自分の与えられること多いのである。すべて此の世界は法則によって動いているのである。どんなに能力があっても、愛と寛大との精神の欠乏せる者は、自分も寛大に与えられることは無いのである。(『新版 幸福を招く365章』198頁より)
■幸運の扉をひらく見真会に 生長の家の説く真理を学ぶ事が出来る見真会が、10月31日~11月1日、7日~8日にかけて県下8会場で開催されます。(詳しくはホームページの「お知らせ」に)
どうぞ気軽にご参加下さい。お待ちしています。