好い言葉で民度を高める
2018年03月01日
教化部長 坂次 尋宇
■信仰の言葉が生活に
日本の言葉の中には神道や仏教から由来する言葉があり、特に仏教語は多く生活の中に溶け込んでいます。
○神道
【お払い箱】お札や御守りは1年で取り換えるため、古くなったものは神社に集められて、お祓いやお焚き上げなどをして処分される。このとき、古いお札や御守りを集めて入れておく箱を「お祓い箱」と呼んだ。これが転じて、いらなくなったものを捨てることを指す言葉なったといわれている。
【みたらしだんご】漢字で「御手洗団子」と書く。京都の下賀茂神社では、毎年7月の土用の丑の日に「御手洗祭」が行われる。この祭は平安時代、季節の変わり目に貴族が罪や穢れを祓う「禊祓い」をしたことに由来する。その祭のときに境内で売られた、串刺しのだんごにちなみ、名づけられたという。
○仏教
【食堂】仏教では「じきどう」と読み、修行の一環として、僧が食事をする場所のことをいう。ここには必ずご本尊が安置され、物を噛む音や汁を啜る音さえ禁じられている。「じきどう」が一般社会に普及し、「しょくどう」と読まれるようになったのは明治以降のこと。高校や大学などの食事室を称し、その後、邸宅の食事室や食事を提供する店にも使われるようになった。
【旦那】「与える」「贈る」を意味するサンスクリット語「ダーナ」が起源の仏教語で中国や日本では寺院や僧侶にお布施をする「施主」や「檀家」を意味した。やがて、世俗で「生活の面倒を見る人」の意味で使われるようになった。
『美しい「日本の言葉」2200』より
■パラオ共和国の日本語
パラオは1920年(大正9年)から1945年(昭和20年)の終戦まで25年間日本に委託統治され、その後アメリカによる統治が1994年(平成6年)の独立まで49年間続きました。現在パラオの言語はパラオ語と英語ですが、25年間の日本統治によって、現在も約1000の日本語が使用されているそうです。
例えば(ダイジョーブ)→「大丈夫」、(ベントー)→「弁当」、(ハゲ)→「禿げ」、面白いのは(ツカレナオース)→「アルコール類を飲むこと」等があります。更に現在の日本では使用されなくなった言葉(キンロウホウシ)→「勤労奉仕」は現在日本ではボランティアに、(エモンカケ)→「衣紋掛け」はハンガーになっていて、日本の若い人には分からないと思います。
パラオの文化は統治する国の文化に影響を受けてきたと言えます。
■日本の民度は作られた
さて言葉や文化は時代や環境によって変化するものです。かつて日本は昭和39年の東京オリンピック開催に向けて国民に道徳の徹底を図るキャンペーンを強力に実施したそうです。
今では考えられないのですが、当時は列車の中で食べた弁当殻やお菓子の包み紙等はそのまま床に置いたので、車内はゴミだらけでした。また、トイレも今のように完備されていなかったためか、そこら中で立ち小便をするのが普通で、信号機は守らない等の状態でした。
しかし子供達を始めとして大人にもマナー向上のキャンペーンを徹底して教育したことにより、現在では世界に誇る民度の高い国になっていますね。
■コトバの使い方
コトバ(表情:身、発生音:口、想念:意)は繰り返して使っていると知らず知らずの内に習慣性を持ち、そのコトバの様に人生を造っていくと言われます。ですから普段使うコトバには注意して明るい前向きなコトバを使用していきましょう。『新版 生活の智慧365章』164頁には次のように書かれています。
「コトバの力」の正しい使い方
自己の内に「幸福を開く鍵」が宿っていることを知っても、その鍵をどのように使えば本当に「幸福の扉」が開くか、その使い道を知らなければ、鍵はありと知りながらも、その扉を開くことが出来ないでしょう。その鍵を動かす力は“コトバの力”によるのです。その力をどちらへ回転するか、どの方向へ向けて動かすかによって、どのような大きな幸福がおとずれるか、小さな幸福しか得られないかの相異がでて来るのである。
時には“コトバの力”を逆回転させると、そこから不幸が飛び出して来ることもあります。“コトバの力”は諸刃の剣であり、自己が間違えば、自己が斬られ、敵が間違えば敵が斬られるのです。それは十字であり、×(ななめ)となる時は、「必殺」であり、正しく構えるとき「復活」である。“コトバの力”を順に廻すということは、人を称め讃える称讃の言葉を使うことであり、自己の受けたる恩恵を感謝する言葉を使うことである。称讃と感謝の方向に鍵を廻転することが大切である。
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