習慣の力
2019年07月01日
教化部長 坂次 尋宇
■食べ方を何とかしろ
私が30才代の頃、職員食堂で昼食を取っている時に向かい側に坐っていた先輩が「坂次、お前のその食べ方を何とかしろ!」と言うのです。だいたい自分が食べる姿を自分で見ることはないので、「はぁー、私の食べ方、何にか変ですか?」と聴いてみました。すると先輩は「お前は口に食べ物を入れる時、食べ物をすくうように舌が出てくるので見る方は気持ちが悪い。何とかしろ」と言うのです。
私は先輩の言葉を聞いて愕然としました。私の食べ方は、なんと父の食べ方そのもので、その父の食べ方が嫌いだったからです。これを「迎え舌」と言い、その嫌いな食べ方を自分がしていると言うのですから驚きました。安倍首相もその癖があるようです。家族で生活していると両親の癖や仕草、言葉遣いが自然に子供にうつってしまうことがあります。癖や習慣はその行為を一回や二回程行ったぐらいでは癖にはなりませんが、何度も何度も繰り返して行ううちに習慣化してしまい、自分の気づかない癖や習慣になってしまうのです。
■良き習慣をつける
白鳩会総裁・谷口純子先生著『46億年のいのち』103頁~107頁には次のように書かれています。
私たちの人生は、習慣によって方向づけられる。習慣の力のことを業といい、良い習慣は人生を幸せに、建設的に導くことができるが、悪い習慣は悪い結果をもたらす。だから、誰でも良くない習慣は変えたいと思うものだ。ところが現実には、習慣を変えることは容易ではない。(中略)
習慣を変えるには、毎日の小さな積み重ねが大切だ。何かに感動して、あるいは影響を受けて、一時普段とは違う行動をとったり、生活態度になることがあるが、それだけでは長続きしない。感動というものは永続性がなく、余程のことがない限り、いつしか心の振り子は元に戻り、今まで通りの生活になっていることが多い。(中略)
良い情報よりも悪い情報の影響をより多く受けている生活を改善するためには、瞑想をすることがとても有効だ。私は朝五時に起きる習慣で、起きるとすぐ神想観という生長の家式の瞑想をする。神想観は座禅的瞑想法であるが、座禅との大きな違いは、無念無想になるのではなく、善なる世界を心の目でしっかり見つめ、潜在意識に働きかけて、心の傾向を変えていくところにある。(中略)
心で何を思うか、何を信じるかが現実の世界を成り立たせているから、心がどうであるかということはとても大切だ。先入観念を捨てて世界を見渡せば、全てのものがお互いに支え合い、生かし合っている世界の真実が見えてくる。そして私たち人間はその中で生かされている存在だから、悪現象を超えて、全てを生かそうとする大いなる力に目を向けることだ。善一元の世界を心に描くことが、習慣を変える根本になるのである。
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