自然の豊かさの証明
2018年11月01日
教化部長 坂次 尋宇
■田んぼの中の小動物
平成18年6月、東京から山口県に赴任して間もない頃、通勤途中にたまたま青々と茂った田んぼの中をのぞき込んだら、見慣れない小さな生き物が水の中を沢山泳ぎ回っているのを発見した。近くにいた農家のおばさんに、この生物は何かと聞いてみたら知らないという。それどころかそのおばさんに、貴方は農協の人かと逆に聞かれてしまった。
■ホウネンエビ
早速その生物を調べてみるとホウネンエビ(豊年蝦)と言い、水田などに発生する小型の甲殻類で、体長が15ミリから20ミリ。体は細長く全体に白っぽくて透明感があり、2つに分かれた尾は鮮やかな朱色をしている。面白いのは泳ぎ方で、多数の足(鰓脚:えらあし)を上にして仰向けになって泳いでいること。昔から水田に多数発生し、これがよく発生する年は豊年になるとの伝承があるのでこのような名前が付いたようだ。他にもタキンギョ、オバケエビなどとも呼ばれているらしい。ただ実用的な価値はほぼ無きに等しく、田の草を食べることもなく害虫の駆除をする訳でもないし、そうかといって稲に害を与えたりすることもないらしい。せいぜい蛙やヤゴ、小鳥の餌になるぐらいなのかもしれないが、ホウネンエビが生息していると言うことは、農薬が使われず自然のままの田んぼだという証拠である。
このホウネンエビは、1ヶ月も過ぎる頃には死滅してしまい全く見られなくなる。だからあの農家のおばさんも知らなかったのだと思う。そして土中に産み付けられた卵は、夏の時季に孵化することもなく卵の状態で冬の乾燥や寒さに耐え、翌年の春、水田に水が張られる頃に孵化すると言う。
■見えない自然の仕組み
自然界には私たちが知らない生物同士の生かし合いのネットワークが、がっちりと張り巡らされていて、その恩恵を受けて人間をはじめとするあらゆる生物が生かされている。その事に気づくとともに感謝して、自然と共に暮らしいてくことが環境問題を解決する鍵であると想う。
『聖経 真理の吟唱』の「天下無敵となる祈り」には次のように示されている。
私は今この自他一体の真理を自覚するがゆえに、天下にひとりの敵も存在しないことを知るのである。それゆえに私は天下無敵であるのである。神においてすべての存在と一体であることを私は自覚するが故に、私はすべての人を愛さずにはいられないのである。愛いは愛いを招ぶ。されば私はすべての人々から愛されるのである。私は寂しさを知らないのである。
すべての人々の生命がわが生命と一体であるだけではなく、すべての動物・植物の生命とも私は一体であるから、すべての動物・植物に対しても私は愛を感ずるのである。それゆえにいかなる動物からも害されることはないのである。すべての昆虫、その他、這う虫、飛ぶ虫のわざわいをも受けることなく、わが果樹園にも茶園にも田畑にも害虫の被害などはないのである。いかなる細菌も真菌もヴィールスも、すべて“生”あるものは、神のいのちを宿してこの世に出現せるものであるから“神の子”である私を害することは決してないのである。(後略)